光回線を速さ重視で選ぶ~基礎知識や用途別の速度目安も解説
各光回線事業者の公式サイトを見てみると大抵の場合“最大通信速度”が記載されています。
しかし、最大通信速度は必ずしもその速度が出るわけではないので鵜呑みにしてはいけません。
そこで今回は、光回線を速度重視で選びたい方に向けて、基礎知識や速度向上のために最低限自身で行うこと、おすすめの光回線をご紹介します。



通信速度の基礎知識
速度の速い光回線を選ぶために、まずは以下に挙げた通信速度に関連する用語や速度の目安、注意点などを抑えておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
通信速度の単位「bps」

インターネットの通信速度は「bps(Bit per second)」という単位で表されます。
bpsは、1秒間に何bitのデータを転送できるかを示しており、値が大きくなるほど通信速度が早いことを表します。
また、10mm=1cmと換算するように、bpsも次の通りに換算します。
1,000bps=1Kbps
1,000Kbps=1Mbps
1,000Mbps=1Gbps
1,000Gbps=1Tbps

ping値もチェック

ping値とは、サーバーからの応答速度を表した数値を指します。
簡単にいうと、インターネット通信時にどれくらいのタイムラグが生じるかを数値化したものです。
ping値は、「ms(milli second)」という単位で表され、msの数値が小さければ小さいほど応答速度が速く、タイムラグが少ないということになります。
特にオンラインゲームや実況配信をよくする方は、タイムラグが発生するとプレイや配信に影響が出てしまうので、ping値も確認しておきましょう。

▼ping値の速度評価の目安
ping値 | 速度評価 |
---|---|
1~15ms | 非常に速い |
16~35ms | 速い |
36~50ms | 標準 |
51~100ms | 遅い |
101ms~ | 非常に遅い |
上り・下りとは?

インターネットの通信速度には、上り(アップロード)と下り(ダウンロード)があります。
上り (アップロード) |
メールの送信やSNSに投稿するなどネット上にデータを送る際の通信速度 |
下り (ダウンロード) |
Webサイトの閲覧や動画の視聴などデータを受自分のデバイスに受信する際の通信速度 |
一般的に、インターネットの通信速度といえば「下り」を重視します。
しかし、Web会議や動画配信などアップロードする機会が多い方は、「上り」の速度も必要に応じて確認しておくと良いでしょう。
通信速度の目安
インターネットの通信速度は、目安として10~30Mbps出ていれば大抵のことはこなせます。
以下に、通信速度のおおまかな目安を目的別にまとめたので参考にしてみてください。
【目的別の通信速度の目安(下り)】
目的 | 通信速度の目安(下り) |
---|---|
Webサイトの閲覧 | 1〜10Mbps |
メールやLINE | 128Kbps~10Mbps |
SNS | 1~3Mbps |
動画の視聴 | 1~20Mbps |
Web会議 | 15~30Mbps |
スマホのオンラインゲーム | 10~30Mbps |
PCのオンラインゲーム | 30~100Mbps |
【目的別の通信速度の目安(上り)】
目的 | 通信速度の目安(上り) |
---|---|
メール・SNSの投稿 | 1~10Mbps |
Web会議 | 1~10Mbps |
動画配信 | 10~50Mbps |
動画の視聴時には、解像度によって通信速度の目安が変わってきます。
下記の表は、YouTubeが推奨している通信速度の目安です。
【動画視聴速度の詳細目安】
動画の解像度 | 持続的な推奨視聴速度 |
---|---|
4K | 20Mbps |
HD 1080p | 5Mbps |
HD 720p | 2.5Mbps |
SD 480p | 1.1Mbps |
SD 360p | 0.7Mbps |
「最大通信速度」に注意
各光回線事業者の公式HPやカタログに提示している最大通信速度は、“ベストエフォート型”といって最大限努力した際に出る速度のことを指します。
つまり、記載されている最大通信速度が出ることはほとんどなく、通信環境や使用している機器のスペックなどによって大きく変化するということです。
例えば光回線の場合だと、最大通信速度が1Gbpsの場合、実際には60~100Mbps程度の速度しか出ないといわれています。

通信速度向上のために行うべきこと
通信速度向上を図るためには、速い光回線を選ぶのも重要ですが、通信環境を整えることも必須条件です。
最低限、次の2つは抑えておきましょう。
IPoE接続に対応させる
高性能なWi-Fiルーターを選ぶ
IPoE接続に対応させる
通信速度が遅くなる原因のひとつとして挙げられるのが、回線の混雑です。
例えば、昼間や平日はスムーズにネットが使えるのに、休日や夜間になると通信速度が遅くなることはありませんか?
その原因は、休日や夜間はネットの利用者が増えるため、回線が混雑して速度が遅くなっている可能性が高いといえます。
では、このような回線の混雑を避けて、いつでもネットを快適に使うためにはどうすればいいのか気になりますよね。
そのためには、回線が混雑しにくいインターネットの接続方式を選ぶ必要があるのです。

IPoE(IPv4 over IPv6)接続について簡単に説明すると、
回線の混雑を避けてスムーズに通信できる
IPoE接続でIPv6にもIPv4にも対応できる
ということです。
IPv4とIPv6の違い
IPv4 と IPv6の違いを理解しやすくするために、まずは “IPアドレス”について説明します。
IPアドレスとは、「Internet Protocol Address」の略称で、パソコンやスマホなどインターネットに接続する機器に割り当てられる固有番号のことを指します。

私たちが住所を伝えてモノを送ったり受け取ったりするように、インターネット上では各機器に割り当てられたIPアドレスを識別してデータの送受信を行うのです。

IPアドレスには現在2つのバージョンがあり、それに該当するのがIPv4とIPv6です。
これら2つの違いは、IPアドレスを割り当てられる数にあります。
IPv4 | 約43億のIPアドレスが割り当てられる |
IPv6 | 約340澗のIPアドレスを割り当てられる |
約43億と聞くと膨大な数だと感じるかもしれませんが、世界の人口は約77億人です。
また、パソコンやスマホ、家電などネットに接続できる機器を1人で複数台持つ時代なのでとても足りませんよね。
そこで登場したのが、約340澗のIPアドレスを割り当てられるIPv6です。


実質無限にIPアドレスを割り当てられるIPv6は、IPアドレスの枯渇問題解消のほか、回線混雑による通信速度の改善が期待できます。
ただし、単純にIPv6にすれば速度が速くなるというわけではありません。
回線の混雑を避けて速度を改善させるには、 “インターネットの通信方式”の違いが関わってくるので、次の章で解説します。
インターネットの通信方式
現在の主なインターネットの通信方式には“PPPoE”と“IPoE”の2つがあります。
PPPoE方式は、ADSLと光回線が切り替わる時代に登場した従来の通信方式で、IPv4とIPv6で利用されています。
IPoE方式は、PPPoEとは異なる通信網を経由して接続する新しい通信方式で、IPv6で利用されています。
以下の表では、各通信方式のスペックをまとめました。
IPoE | PPPoE | |
---|---|---|
利用者 | 少ない | 多い |
対応IP | IPv6 | IPv4/IPv6 |
帯域幅 | 広い | 狭い |
最大速度 | 100Gbps | 200Mbps |
ユーザー認証 | 不要 | 必要 |
表を見て分かるとおり、PPPoEは帯域幅が狭いうえにいちいちユーザー認証の必要がでてくるため回線が混雑しやすくなります。
分かりやすく例えると、一車線しかない高速道路の料金所を通過しなくてはいけない状況です。
一方、IPv6に対応しているIPoE方式は、帯域幅が広くユーザー認証も不要なので回線が混雑しにくくなります。

そのことから、IPv6を利用すれば速度の改善が期待できるといわれているのです。


IPv6とIPv4の両方に接続できる“IPv4 over IPv6”
速度改善が期待できるなどメリットの多いIPv6ですが、実は致命的なデメリットがあります。
それは、IPv6にするとIPv4のみに対応しているサイトが見られないという点です。
実は、IPv6に対応したサイトはまだまだ普及が進んでおらず、現在ほとんどのサイトではIPv4にしか対応していません。


IPv4 over IPv6という接続機能を利用すると、
IPv6とIPv4両方のサイトにアクセスできる
IPv6と同じ通信スペックでIPv4通信ができるので快適
といったメリットがあります。
ただし、IPv4 over IPv6は、各光回線・プロバイダによって提供していないこともあるので、契約前に確認しておきましょう。
なお、IPv4 over IPv6は各事業者によって“v6プラス”等、サービス名が異なったり利用料が発生したりする点も留意しておいてください。

高性能なWi-Fiルーターを選ぶ

通信速度を向上させるにあたり、意外と見落としがちなのがWi-Fiルーターの性能です。
価格が安いからとはいえ、古い規格のWi-Fiルーターを使うと光回線の速度を最大限引き出せない可能性があります。
では、どのWi-Fiルーターがおすすめなのかというと、“IEEE802.11ac(Wi-Fi5)”または“IEEE802.11ax(Wi-Fi6)”の新規格に対応したものを選ぶのがおすすめです。
その理由を詳しく説明すると、Wi-FiルーターにはIEEE802.11acなどの”規格“が設けられており、各規格によって最大通信速度と周波数が異なります。
そのため、光回線の最大通信速度が1GbpsでもWi-Fiルーターの方が1Gbpsに対応していなければ光回線のスペックを十分に発揮できないのです。
また、周波数帯がWi-Fi専用の”5.0GHz”に対応していれば電波干渉を受けにくいため速度の向上が期待できますが、“2.4GHz”にしか対応していないと電波干渉を受けやすく速度に影響がでてきます。
しかし、冒頭でおすすめした新規格のIEEE802.11acとIEEE802.11axは最大通信速度1Gbpsに対応でき、5GHzの周波数帯もカバーしている優秀なスペックを備えています。
規格 | 最大通信速度 | 周波数帯 |
---|---|---|
11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
11ax | 9.6Gbps | 5GHz/2.4GHz |
高性能なWi-Fiルーターだとその分高価になりがちですが、プロバイダによっては無料レンタルキャンペーンを実施している場合があるので活用してみてください。

速度に優れた光回線は?
有名どころの光回線を最大通信速度で比較した場合、NURO光の下り2Gbpsが最速です。
光回線 | 最大通信速度(下り) |
---|---|
NURO光 | 2Gbps |
ドコモ光 | 1Gbps |
auひかり | 1Gbps |
ソフトバンク光 | 1Gbps |
さらに、NURO光は月額料金が較的安い点もメリットといえます。
しかし、光回線を選ぶ際には速度だけでなく、docomo・au・SoftBankのスマホを利用している方は、スマホとの“セット割”が適用されるかどうかも考慮して選ぶのがおすすめです。
セット割が適用されると、スマホの料金が毎月割引になるので通信費の節約に繋がります。
別表にて大手3大キャリアのおすすめ光回線を一覧にしておりますので、よろしければこちらもご参考ください。(※TOP一覧表にリンク)
なお、格安SIMユーザーの方はセット割が適用できる光回線はあまり存在せず、適用されたとしても数百円程度しか割引されません。
そのため、月額料金が安い光回線を選ぶのがおすすめです。
また、フレッツ光や光コラボ以外の光回線は対応エリアが限られているので、お申込みの前にご自宅が対応しているかを必ず確認しましょう。
